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2025.06.12

ヒサちゃんに学んだこと

菊池源吾牛

ヒサちゃんに学んだこと

発達障害”だった牛(ヒサちゃん)を育て、途中心配する事は幾度かありましたが、無事出荷を終えることができました。

ヒサちゃんのお肉は、いつもの源吾牛のお肉が入ってくる段ボールの数の10分の1…かな。

とても小さかった。

私自身がヒサちゃんにはすごく考えさせられたので、ここへ書き綴っておこうとおもいました。

先日、お肉になって届いたヒサちゃんを試食してみたのですが、

いつもの源吾牛と見た目もですが、触った感じも、味も、風味も違いました。

わたしは、いつも菊池源吾牛は、焼いて良いお塩を少し付けて食べるのが好きですが、

ヒサちゃんは、いつもの源吾牛みたいに焼いて塩だけでは

『 わぁ!!おいしい!!!』となりませんでした。

菊池源吾牛で、焼いただけ、塩だけで『うまっ』ってならなかったのは初めてでした。

わたしは、今回『菊池源吾牛 』 って なに??を考えさせられましたので、

この事をしっかり世に伝えておきます。

私たちは、およそ200頭の黒毛和牛を育てている農家です。

牛さん達は元気いっぱいの子もいれば、気性が荒い子もいれば、人懐っこい子もいる。

生まれつき身体が弱く、大きく育つことが難しい子もいます。

千差万別。

当たり前に食べているお肉ですが、家畜って繊細なので、小さい頃に命を落とす事も多々あります。

生産者の私たちは、黒毛和牛としてこの世に誕生した以上、大切に育てる事を使命とし、最後はお肉になって、人々に口にして食べて頂き、おいしーーって喜んで笑顔になって頂きたいと願っています。

しかし、現実の現場では、成長がうまく出来ない牛さんもいます。
普通の牛農家なら市場にも出さないだろう…。嫌、出せない。。

いわゆる「流通にのらない命」です。

そんな牛さんは、通常業界では、安楽死という選択肢を余儀なくされる。

でも、菊池源吾牛の牧場長(増永優樹)の想いはただひとつ。

「どんな命でも、値段が付かないからといい、途中で終わらせない。最後まできちんと生かしきることが、私たちの使命だ」

そんな想いから、このヒサちゃんも他の牛たちと同じように最後まで大切に育ててきました。

正直、ヒサちゃんを出荷することが私たち農家の利益になるのか??…

経済的には決して合理的ではありません。利益どころか、赤字になるでしょう。、、

でも、よく草を食べて、目の輝きも強くて、本当に健気に生きてる姿を365日見て、触れて、育てる。。。

やはり、この子の命を途中で終わらせず、お肉として届ける”という最後の役目を、どうしても果たしたい。

そんな想いがやっぱり増永優樹にはあるんですよね。

なんとなく味や肉質が、いつもの「菊池源吾牛」とは違うことは想像はしていました。

だから廃棄するのではなく、すべての背景を正直にお伝えし、使ってみたい!と思われるレストランさんに、ヒサちゃんは、お届けしようとおもいました。

ヒサちゃんを試されたあるお店さまから、味わいがいつもの源吾牛と違うので、

今回のヒサちゃんは、『菊池源吾牛』としての名前は控えたい…という正直なお言葉もいただきました。

レストランさんの立場からすると、菊池源吾牛を思って伝えてくれた本音だと思うし、私たちも十分に理解できます。レストランさんが、食べにこられるお客様との信頼を大切にされている姿勢でもあるとおもいます。

私たちもその感想を真摯に受け止めてるべきだとも感じました。

しかし

ひとつだけ、
どうしても伝えたいのは――

「菊池源吾牛」は、すべてが完璧な味でなければならないというブランドではない、、

ということ。

命に寄り添い、どんな牛でも真っすぐに向き合い、育て切る。その想いが根っこにあるからこそ、私たちは“菊池源吾牛”と名乗っています。

それが、増永優樹が育てる

『 菊池源吾牛 』 です。

いただいた言葉は私たちにとって大きな学びとなり、励ましにもなりました。

これからも真っ直ぐに、菊池源吾牛を育てる男、増永優樹は、

家畜・環境に優しい…それが”ヒト”に繋がる農業を続けていきます。

わたしはそんな菊池源吾牛を真っ直ぐに、大切に届けていきます。

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